歯のコラム
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抜歯と診断された。インプラントってどんな治療?
2022.11.10
こんにちは。今日は抜歯後の治療についてお話いたします。
抜歯はできればしたくないと考える方は多いのではないかと思います。当医院でも抜歯の必要性をお伝えすると転院されてしまった方や、予約日にキャンセルしてしまう方がいます。とても心苦しいのですが、伝えないわけにはいかないのです。
ただ、だからといって無断キャンセルしていいという理由にはなりませんので、しっかりとお考えになったうえでご予約を取っていただきたいと思います。
抜歯の原因はさまざま
抜歯の理由は、虫歯が歯の根まで進んでしまったり、炎症が酷かったり、ほかの歯科医院で行った歯の根の治療に問題があったり、力がかかることによって歯が割れてしまったり、歯周病だったりとさまざまです。
抜歯という診断がされた場合、他の歯科医院で診察を受けてもほぼ全員が抜歯という診断をします。ただ、歯科医師の技術や考えは違うので、抜歯することになる歯をできるだけ長くつかえるようにしたり、抜けるまで待つという方法をとる歯科医院もあります。
抜歯したくない気持ちはよくわかります
抜歯は、患者さん側の気持ちの問題が大きいと思っています。永久歯は一度抜いたら二度と生えてこないので、抜歯することを躊躇してしまう気持ちはわかります。漠然とした不安もあるでしょうし、その後の治療に対する不安もあるかもしれません。
私の経験上、今まで治療で何回も通っていた患者さんと、歯が痛い(抜歯適用の歯)と来院する方では、今まで何回も通っていた患者さんのほうが抜歯するまでの決断が早いです。
初めて来た歯医者で、初めて会う担当歯科医師に、初回で抜歯と言われると、信じられない気持ちが出て当たり前だと思います。当日に抜歯をせずにお帰りになり、後日「他の歯科医院でも抜歯だと言われたので来ました」という患者さんもいます。
患者さん同様に、歯科医師も抜歯したくないのです
ただこれだけはお伝えしたいのですが、抜歯をしたくてしている歯科医師は少ないということです。歯科医師も、できることなら抜歯はしたくありません。ただ、痛みが続いてしまったり、いずれ抜けてしまう可能性がある場合は、避けられないから抜歯の提案をしていますが、患者さんと同じように、歯科医師も抜歯したくないという気持ちがあるのです。
歯科医師が抜歯を提案する理由はさまざまですが、1つは痛みを取り除くためです。そのほかの理由として、抜歯後の治療を円滑に行ったり、周辺の歯への悪影響を防ぐためなどがあります。
抜歯しなければいけない歯の根の周辺は炎症を起こしていることが多く、炎症により下の骨が溶けてしまいます。歯がぐらぐらしている場合は、支える骨が溶けてなくなってしまっていることが原因です。
骨がないケースでは、その後の治療に大きな影響を及ぼします。
例えば、インプラント手術は、抜歯した歯が埋まっていたあごの骨に「インプラント体」とよばれる金属の人工の歯の根を埋め込みます。つまり、骨がなければ埋め込む手術ができないということになります。
「歯が抜けたらインプラントにすればいいや」と気軽に考えている方もいらっしゃいますが、インプラント手術は「あごの骨が健康であること」が前提となります。
あごの骨がない場合、あごの骨を再生する必要があります。骨に置き換わる素材(人工骨)や骨の再生を促す薬剤(エムドゲイン)などを使い、骨の回復を待ち、骨がしっかりと出来上がったことを確認してからインプラント手術を行います。
しかし、もとの骨の状態・骨が出来上がる量や時間は個人差があるため、すべての症例でインプラント手術ができるわけではありません。
インプラント手術に限らず、できるだけ骨が減らないような治療を行うことは非常に重要です。
抜歯という診断をされた段階で速やかに抜歯することが望ましいのですが、患者さんの気持ちが固まらないことには抜歯はできません。「どうしても抜歯したくないので様子を見たい」と言われてしまうと、抜歯せずに経過観察となるのですが、この間に症状は悪化していきます。歯がグラグラと揺れてきてしまったり、歯茎が腫れてしまったり、歯が痛くなってしまうなどの症状が出ます。患者さんが再来院され抜歯すると、骨が少ないことが確認されるわけです。
細かい話ですが、抜歯の難易度は症例によって違います。さらに、インプラント予定の抜歯であれば、抜歯と同時に骨を増やす処置を行うことがあります。歯の根の形は個人差があり、曲がっていたり、骨に癒着していることもあります。歯にヒビがはいっていたり割れてしまっていると、歯を器具でつかんでそのまま抜くことができない可能性もあります。
インプラントを予定していないのであれば骨をドリルで削ってそのまま抜けばよいのですが、インプラントを予定している場合は、骨はできるだけ削りたくありません。
インプラントを視野に入れて抜歯する場合と他院でインプラントを前提としないで抜歯した場合では、骨の状態まで考慮する必要があるため、インプラント希望の患者さんが来院された時に「私が抜歯したかったなあ」と思うことがたまにあります。
話がそれてしまったのですが、抜歯しないで悪影響を及ぼすことはほかにもあります。
例えば、奥歯を抜歯しなくてはいけない状態になっていて、強く噛むと痛みが出るので逆側の歯でしか噛めない状態になってしまったとします。今まで力がかからなかった箇所に正しい方向で力がかからないため、逆側の歯も欠けてしまったり痛みが出たり、あごに負担がかかってしまい、噛むとあごが痛くなってしまうのです。
インプラント予定の抜歯の注意点
・インプラント手術はあごの骨の状態が大切である
・炎症が起きている歯は、骨の状態が悪い可能性がある
・骨の状態が悪い場合は、インプラントの手術前か手術と同時に骨を増やす処置が必要である
・抜歯はできるだけ早く行う
・インプラント手術を考えている方は、抜歯前に歯科医に相談する
インプラントを検討されている方は、ぜひ抜歯前に当院にご相談ください。