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歯が激痛!どんな治療をするか知りたい!
2022.10.20
歯が激痛!どんな治療をするか知りたい!
こんにちは。歯科医院は救急病院としての役割もあるように思って診療しております。
切羽詰まった声でかかってくるお電話の内容で一番多いのが「歯が激痛でなんとかして欲しい」という訴えです。
当日のご予約がいっぱいでも、診察室の空きがあればできるだけ痛みを取る治療を行いたいと思っております。そのような場合はお待ちいただく時間が長くなってしまったり、診療室の空きがない場合は、心苦しいのですがお断りをせざるを得ないこともありますので、ご了承ください。
では、歯が激痛の場合は、どのような理由が考えられるのでしょうか?
考えられる主な原因は以下の6つです。
1.虫歯が神経に達してしまっている
2.以前に神経を抜いた歯が痛い
3.おやしらずが痛い
4.歯が折れている、割れている
5.歯周病の症状が強く出ている
6.他院で治療した歯(つめものやレジン修復)が痛い
それぞれ詳しく解説していきます。
1.虫歯が神経に達してしまっている
放置した虫歯、つめものの下の虫歯などが神経に達してしまうと、激痛になります。
歯に穴があることに気付いていたのに、そのままにしてしまって強い痛みが出てしまうということはよくあります。歯に小さな穴が開いてしまってもあまり深刻に考えないというお気持ちはよくわかります。
しかし、実は歯に穴が開いているケースでは内部が大きく虫歯になってしまっていることが非常に多いです。歯の表面(エナメル質)はとても硬いので、虫歯の穴は広がりにくいですが、歯の内部(象牙質)は表面に比べると軟らかいので、虫歯は内部で大きく広がってしまうのです。患者さんにとっては「小さい穴だから虫歯も小さい」と思いがちですが、実際には神経を抜く治療が必要になってしまいます。
神経を抜く治療を行うと、痛みを感じる神経がなくなるので徐々に痛みはなくなっていきます。
神経を抜く治療について、簡単にご説明します。
本来は歯の根には神経が通っている管があり、顎の骨まで神経が繋がっています。これを歯科用のやすりで掻き出して消毒し、できるだけ無菌状態にします。神経が通っていた管に根管充填材という材料を詰めて、外から唾液や細菌等が入らないようにします。そして、歯の形を整えて型を取り、かぶせものを製作し、装着します。
かぶせものは、保険診療の場合は銀歯、自由診療の場合はセラミック、ジルコニア、ゴールドからお選びいただきます。
2.以前に神経を抜いた歯が痛い
神経を抜いた歯には神経がないため、痛みを感じません。つまり、患者さんご自身では異常に気付きにくい状態といえます。
かぶせものと歯茎の間に隙間が広がってしまったり、歯茎に水ぶくれができてしまったり、歯が揺れてきてしまうなど、さまざまな症状がありますが、痛みがないのであまり深刻に考えない方が多いかもしれません。
神経の治療で大切なことは、できるだけ無菌状態で行うこと、性能の良いかぶせものを装着することの2点があげられます。
なんらかの理由で歯の根に細菌が入ってしまうと、歯の根の周辺組織に炎症が起きてしまい、強い痛みが出ることがあります。この場合は、かぶせものを外し、再度、歯の根の治療を行わなくてはなりません。この治療を「再根管治療」といいます。初回神経を抜く治療を行った場合と比べて、再発率が高いというデータがあります。3回目の歯の根の治療はさらに再発率が高く、抜歯に至ることも多いです。
神経を抜いた歯が痛い場合、虫歯の治療としては重症度が高いと考えてよいでしょう。
3.おやしらずが痛い
おやしらずは一番奥に生えているため、歯みがきがしづらい場所にあります。また、日本人はあごの骨が小さいため、おやしらずがまっすぐに生えることが少なく、曲がって生えてしまったり、歯茎の中に埋まってしまい、余計に日々のメンテナンスがしにくいといえるでしょう。
歯みがきがしづらいので当然虫歯になりやすく「智歯周囲炎」という歯茎の炎症も起きやすいです。
「おやしらずを抜きたくない」とおっしゃる方はすごく多いのですが、こういった症状を繰り返すのであれば、抜歯したほうが良い場合もあります。ほかの歯と同じように、おやしらずも虫歯の治療を行うことはできますが、抜歯することで結果的に患者さんが楽になるケースが多いからです。
おやしらずの抜歯は、生え方にもよりますが上部の場合は比較的簡単に抜くことができます。一方、下のおやしらずは下顎管という下の顎の神経や血管に近いため、大学病院の口腔外科で抜歯するほうが安全です。
ただし、口腔外科であっても抜歯後に麻痺が残らないとは言い切れません。炎症が神経に近い場合は抜歯により麻痺が起きてしまう可能性があります。また、抜歯をしなくても炎症によって膿が溜まってしまうことで、神経に悪影響を及ぼすことがあります。
おやしらずを抜歯せずに経過観察をする方は多いですが「抜歯すべきおやしらず」と「抜歯しなくてもいいおやしらず」があるので、気になる場合は歯科医院で検査をうけることをおすすめします。
4.歯が折れている、割れている
事故のような外傷でも歯は折れますが、歯並びが悪かったり噛む力が強いなど、さまざまな理由で歯が折れたり割れたりすることも多いです。
このように、歯の根が割れることを「歯根破折(しこんはせつ)」といいます。
歯根破折が原因で激痛がある場合、一般的に行う治療法は抜歯です。歯科医師によっては、抜歯はせずに割れた歯を接着して再度植える治療を行っている人もいます。当医院では、再植しても長期間の使用はできないことが多いと考えており、インプラント治療のほうがその後の管理がしやすく長く使えることから、早期の抜歯をおすすめしています。
5.歯周病の症状が強く出ている
歯周病の急性発作でも痛みが強く出ることがあります。
歯と歯茎の間の歯周ポケットの状態が悪くなると、細菌による炎症が起きますが、穏やかな症状が出る方が多いです。稀に急性症状として強い痛みが出る方がいます。
歯周病の治療は、歯科医師もしくは歯科医師の指導の下に歯科衛生士が行い、歯周ポケットの歯石や炎症を起こしている歯肉を除去します。急性症状が出ている場合は麻酔が効かないことがありますので、痛み止めや抗生剤を服用してもらい、炎症が落ち着いてから改めて治療を行います。
6.他院で治療した歯(つめものやレジン修復)が痛い
治療済みの歯が痛い場合、最初から神経を抜くという判断をする歯科医師もいますが、神経は一度抜いたら元に戻すことができないため、基本的に神経を残せる虫歯は神経を温存できるように治療します。
しかし、虫歯が神経近くまで達している場合、治療後に痛みが出ることがあります。この痛みに対して、歯科医師が削りすぎたとおっしゃる方も多いのですが、虫歯の場所によっては、どうしても神経ギリギリまで削ることになるため、痛みが出るまでに時間がかかる方もいます。これは、治療ミスではなく、神経の温存を考えた治療です。治療せず神経を刺激する痛みがないまま過ごせるかというと、遅かれ早かれ虫歯による痛みが出てしまい、神経を抜くことになる場合が多いです。
激痛が起きてしまう原因は複数あります。仕事が忙しい等で治療を受けずに、痛み止めを飲んで過ごす方もいらっしゃるでしょう。
しかし、放置してしまうと行きつく先は抜歯です。痛みがあった場合は、長年頑張ってきた歯がとうとう音を上げて合図を送ってきたと受け取りましょう。大切な自分の歯のために、お早めの治療をおすすめします。