歯のコラム
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質問コーナー2024年秋版 その2
2024.11.15
歯医者に寄せられる質問にお答えします
私は色々な歯科のサイトで質問コーナーに登録しています。たくさんの質問が寄せられるのですが、非常に大量の質問なため応えられるのはほんの一部です。一般的な質問から専門的な質問までありますが、その中からよるある質問の一部についてお答えしたいと思います。
虫歯についてのご質問
Q7 虫歯の治療で銀歯にするかセラミックにするかゴールドにするかは見た目だけの問題ですか?自費治療は歯科医院のお金儲けのためにしているんですよね?
A7 ネットのご質問だとこういった内容もあります。さすがに直接会ってこんなご質問を受けたことはありませんが、ネットの良さと悪さがでていると思います。直接会って言われた失礼だなと驚くか大笑いしてしまうかもしれません。ちなみに私は昔婚活パーティーに参加した際に初対面の男性にあいさつもそこそこに年収を聞かれてケンカしたことがあります。若気の至りです、少し話が逸れてしまいましたね。性能については詳しく他のご質問でお答えしますので簡単にお答えしますと、性能が良い素材は治療費も高いということになります。お金儲けの是非についてはお答えが難しいですが、自費治療におけるトラブルの原因のうちの一つに、技術力不足というのがあると思います。歯科大学では保険診療の銀歯の素材しか習わないためセラミック治療はセミナーに行って勉強するか、本を買って読むか、技術のある人に習うか、勉強せずに行うかということになります。勉強せずにセラミック治療に手を出せば当然失敗する可能性が高くなるので結果的に患者さんの納得するクオリティに達せずトラブルになるわけですね。日本臨床歯科学会に所属しているのですが様々な分野のセミナーを受けています。参加者は30~50代が多いでしょうか。セミナーを受けると思うのですが全く何も発見がないセミナーはないということです。まだまだ勉強することが沢山あるのが歯科の世界だと思いながら少しでも良い治療をと心掛けています。自費治療に使う器具、機材、薬剤が保険診療に使うものに比べて高額になるというのも自費治療の特徴かもしれません。真面目に自費治療を行っている場合、セミナーや書籍、練習にかかるコストと材料や器具機材のコストがあるためお金儲けでやっているというよりは技術の研鑽という意味合いが大きいと個人的には思います。ちなみに保険診療における定期検診は検査を行った上でクリーニングを行うのですが、検査を行っていない歯科医院もあります。クリーニングの精度が下がりますので誠実ではないでしょう。こういった治療の方がお金儲けで患者さんのことを考えていない治療ではないでしょうか?と疑問を投げかけてこの質問の回答とさせていただきたいと思います。
Q8 歯医者が怖くて治療を受けてこなかったので口の中がボロボロです。治せますか?歯医者さんは嫌がりませんか?
A8 歯科医師によると思います。いわゆる全顎的な治療(虫歯も歯周病もかみあわせも含めたすべての歯を対象にした治療)は好きな先生も嫌いな先生も出来る先生も出来ない先生もいます。私も昔は出来ない先生でした。まずこの質問者さんがしっかり治したいという意思が固まっているという前提で回答させていただきます。治療の期間はとても長くなります。治療費も高額になります。治療の回数も多いです。セルフケアについても見直す必要があります。生活習慣も変える必要があります。それでもあきらめずに通い続ければ治ります。完全に治らないとしても今よりは改善しますし、生活に支障がなく、人の目も気にしなくても良い程度になります。こういった治療の場合は自費治療が非常に有効的だと思います。自費治療のセミナーの中にこういった全顎的治療を対象にしたものがあります。細菌の検査、かみ合わせの検査、あごの機能の検査、詳細なレントゲン検査などいくつかの検査を行ったうえで現在の状態を確認し治療計画を立てていきます。この手順は保険診療で行うことができません。というのも保険診療は治療の応じて保険点数が定められています。銀歯のつめものの治療なら〇〇点、歯周病の検査なら〇〇点といった具合です。全顎的な治療をする際の検査が保険診療対象ではないためできないということになります。保険診療対象ではないということは歯科大学で習う範囲では無いということになるため、国家試験に合格した歯科医師の中から、興味を持った歯科医師がセミナーに参加したり、行っている歯科医院で勉強することによってできるようになるということになります。保険診療をメインで行っている医院、プラスでセラミック治療をしている医院ではこのノウハウがないことがあるのですが、こういった治療が好きな先生であれば技術と知識の中で最高の治療を行っていくためかなりの機能の回復が見込めます。誤解しないで頂きたいのは全顎的治療ができるのが優れているということではないということです。それぞれの立ち位置でどれだけベストを尽くせるかということが大切であってそれには日々の技術の研鑽や勉強が必須だということに過ぎません。
相談者さんが勇気をもってご自分の口腔機能、口腔環境を改善したいと思ったならそれだけで素晴らしいことです。是非主治医と一緒に治療を途中で止めることなく最後まで頑張ってください。ただ、ご自身と合わないと感じた場合は長期的な治療は難しいと思いますのでその点にも注意が必要です。セカンドオピニオンも良いと思います。
Q9 虫歯で治した前歯の保険のつめものが変色してしまってとても目立ちます。やりなおせますか?
A9 保険診療における治療は機能の回復がメインだということをまず考えていただければと思います。機能の回復というのは痛みが無くなる、噛めて食事が取れるということです。前歯の虫歯の保険の白いつめものというのはレジンと呼ばれる光を当てると固まる樹脂のような素材です。父も歯科医師ですが昔は削って金属を詰める治療だったのがレジンを使った治療が導入されてとても便利になったと言っていました。前歯と前歯の間が虫歯になった場合、その部分だけを削ってレジンを流し込み、光を当てて治療が終わるのですが、短時間で終わりますし、歯を削る量も少なくて済むので歯科医師側の負担も、患者さんの負担も軽く素晴らしい治療法だと思います。そのままにしていたら虫歯が進んでしまい痛みが出るところを痛みが出ない状態にするという機能の回復が出来ているわけです。しかしレジンは変色するという性質もあるため、やがて自分の歯とレジンの違いが目立ってきます。継ぎ目が虫歯になっていなければ機能も変わらないため治療の必要がありません。相談者さんはこの色が気になると言っているわけです。問題が無い歯の治療は保険診療ではなく、自費治療の範疇です。審美歯科は自費治療で行うわけですね。薄いセラミックを歯の表面に張り付けるラミネートべニアという治療法であればセラミックが変色しないためずっと前歯の審美性が保たれます。これは薄いセラミックを扱うという点、しっかりと接着し外れないようにしなければいけない点、かみ合わせによって力がかかり外れないようにしなければならない点などやはり勉強が必要な治療です。結果的に高額になります。審美性を取るか、治療費を取るかという問題は歯科治療においての命題といっても良いくらい常につきまとうことですのでその点についてよく考えた上で歯科医師とご相談されると良いかと思います。
その3に続きます。