歯のコラム
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歯を守るために 当院の治療方針 【2024年版】
2024.01.10
あけましておめでとうございます。例年年始はお休み中に異常が起きた方からのお問い合わせが非常に多く忙しいのですが今年も沢山の連絡が来ております。
当院は今年の4月で5周年を迎えることになりました。この五年を振り返ってみると開業してから少しでも治療の精度を上げられるように様々な設備を導入しました。またセラミック治療や根管治療、予防歯科など様々なセミナーに参加し、当初とは治療の内容も方針も変わり続けています。
また京橋で診療を続けていくなかで「痛い所だけ治したい」という方から「より良い治療を受けたい」「抜歯しないで済むようにしたい」といった歯を大切にしたいという方の治療が増えてきました。ご紹介の方も多くなり、治療のレベルを求める方からの期待に応えられるように日々努力する毎日です。
では歯の治療で気を付けることはどのようなことがあるでしょうか?
1つ目は「虫歯の治療をセラミックやゴールドで行う」ということです。
2つ目は「神経の治療はマイクロスコープを使い精密な治療を行う」ということです。
3つ目は「歯周病の原因菌の除去のため定期的に歯科検診を受ける」ということです。
そして4つ目はあまり実感がないかもしれませんが「かみ合わせの異常をそのままにしない」ということです。
それぞれ深く掘り下げてみましょう。
虫歯の治療を保険診療で行うこと 自費診療で行うこと
日本の保険診療は治療費が安く多くの人が治療をすぐに受けられるという素晴らしい利点があります。機能の回復がすぐに行えるというのは生活の質を下げずに過ごせるためあまり不便を感じないというところも良い点です。
一方で様々な調査結果から長期的な観点で考えると再治療や抜歯が多いという欠点もあります。多くの人はこの利点と欠点を天秤にかけてどちらが良いか考えているということになります。
もしくはこの欠点について知らないまま治療を受けているということもあります。私たちが治療を続けている中で、この「長期的に考えると再治療や抜歯が多い」という特徴について知らない方が非常に多いことに気が付きました。「知っていたら銀歯にしないでセラミック治療にしたのに」という声や「神経を抜いた歯が何度も再治療出来ないなんて知らなかった」という声に対してより良い治療のご説明をすることで再治療のリスクの低い長期的に使うことができる歯の治療を行う機会が非常に増えてきました。
神経の治療を保険診療で行うこと 自費診療で行うこと
歯の神経の治療とひとことで言った場合、実は2つの治療があります。1つ目は「初めて神経を抜く治療」2つ目は「以前神経を抜いた歯の再発による治療」です。神経の治療はできれば再発が無いように治療をするのが良いです。再発を繰り返すたびに抜歯のリスクが高まってしまうためです。しかし患者様にあまり周知されていないのが神経の治療の分野なので歯科医院側としては非常にご説明が難しい分野と考えています。まずセラミックのように目に見えるところではないため理解を得られにくいというところや、治療がしっかりと終わらせていなくても即症状がでて再発するということが言いきれないところが理解されにくいポイントだと思っています。
もちろん症状が消えずに転院してくる方や治療して数か月で痛みが出て転院されて来る方も多いのですが、この場合「治療をしっかりと行ったが再発した」ケースと「治療をしっかりと行っていない」ケースがありました。例えば銀歯やセラミックの治療の場合、しっかりと治療を行っていない場合見た目や使用感で患者様も自覚できるため歯科医院への相談すると思います。神経の治療の場合、歯の内部の細い管の中の治療の為、本人が確認することはできません。
その為杜撰な治療をしているケースも多く見られました。結果として再発し場合によっては抜歯になってしまうため、非常に歯がゆい思いをするのも神経の治療です。神経が無いということは痛みを感じないということです。自身では異常に気付きにくいため気が付いた時には既に再治療ができないほど状態が悪くなってしまっていることもあるため、もし以前神経の治療をした歯がある場合は一度現在の状態について確認されることをおすすめいたします。歯の神経の治療というのは「抜歯する前の最後の治療」と言えます。歯を残すために是非良い治療をうけることをおすすめいたします。
歯周病の予防のためには早期発見早期治療と定期的な検査
歯科医師や関係する様々な団体、歯ブラシや歯みがき粉のメーカーなどが周知を続けた結果、歯周病という言葉については多くの人が知ることとなりました。テレビやネットのCMでも歯周病についてのケア用品についてのものが非常に多く目にする機会があるのではないかと思います。歯周病について歯科医院で定期的な検査を受ける必要がある理由はいくつかあります。「歯周病の原因細菌の除去は歯科医院で行うことができる」という点については様々な研究結果があります。多くのものに共通しているのは除去した細菌が数か月で元の状態に戻るという点です。
また歯と違って歯肉と言う柔らかい組織の状態は比較的短期間で変わります。3か月程度の期間で歯周病の検査を受けなければ状態の変化に気づきにくいと言えるでしょう。またご自身でのセルフケアについての確認も同時に行うことができますので、歯みがきのクセによる磨き残しについても修正することができます。ある箇所のみ歯みがきが出来ていないため歯肉が腫れているというケースはよくありますが、こういった場合歯科医師や歯科衛生士からの歯みがき指導によって気を付けてもらうことで状態は改善していきます。
歯みがきがしっかりと行えていないことについて気付かない期間は短ければ短いほど良いことは言うまでもありません。歯肉の腫れに気付いてから、出血が多いことに気づいてから、歯が揺れてきてから、歯の痛みを感じてから、というタイミングで歯科医院に来るより異常が起きる前に予防していくことが大切です。逆に言えば定期的な検診をしないで自分の好きなタイミングで検査を受けるということは、抜歯のリスクを高めていくことになります。抜歯の原因の第一位は歯周病です。歯周病は痛みを感じない病気です。歯周病の原因菌が神経を伝達するシナプスを切断する物質を分泌するためです。ですのでご自身だけでのケアでは健康を維持できないと考えていただいて良いと思います。
かみ合わせの異常を放置すると抜歯のリスクが
3つ目のかみ合わせの異常についてはあまり知らない方が多いと思います。虫歯や歯周病についてはケアグッズのメーカーのテレビやネットCMによって周知されていることが多いと思います。また虫歯は進行すると痛みを伴うため放置することが出来ないため、歯周病は口臭や出血、歯が揺れたり抜けたりするという症状がわかりやすいため歯科医院に行かざるを得ないということもあると思います。
しかしかみ合わせの異常については歯科医院で治療が必要なため、逆に言うとケアグッズのメーカーで行えることがあまりないためCMで周知されていない治療と言えるかもしれません。かみ合わせの異常も色々とありますが、生まれつきの歯並びの場合は歯が生えた(生え変わった)ときからの歯並びなので自分では気づきにくいと言えるかもしれません。もちろん審美的に気になっているという方も多いので矯正歯科医院で矯正治療を受けることもありますが、必ずしも見た目が美しい歯並びがかみ合わせの観点から正しいと言い切れるわけではありませんので異常があるケースも多くあります。
歯科治療に対するネットの相談サイトはいくつかあります。私も回答を行うことがありますが多くの質問は虫歯や歯周病、インプラントや入れ歯、矯正といったものです。かみ合わせについての質問は非常に少ないです。これは質問者がかみ合わせについて異常を感じていないということや、歯科医師や歯科衛生士からかみ合わせについて説明を受けていないためではないかと思います。もしくは、説明があっても予備知識がないため受け入れるまでに時間がかかるのではないかとも思います。
生まれつきではなく虫歯の治療を繰り返していくうちにかみ合わせに異常が起こることがあります。つめものやかぶせものの治療をした時につめものやかぶせものが正しいかみ合わせよりも高くなってしまったり低くなってしまったりしたことが原因です。人間というのは不思議なもので、適正な高さではないつめものやかぶせものにも慣れてしまうので、複数の歯を長期間かかって治療を繰り返していくと、自分では気づかないうちに徐々に咬み合わせが元々のものと変化してきます。そして強い力がかかる箇所に異常が出てくるというわけです。歯がしみる、歯茎が下がるといった軽度のものから、歯に小さいヒビが入ることによる虫歯や歯の神経の痛み、歯が欠けたり折れたり割れたりと様々な症状が発生します。
こうなってしまうと1本の歯を治すだけではいずれ繰り返してしまうため、全体的な治療が必要になります。これを全顎的治療といいます。全体的な治療をするためには全体の検査を行った上で治療計画を立てることが肝心なのですが、これは保険診療に含まれた治療ではありません。つまり保険診療では診療報酬がゼロということになるため経営的な問題で行えない歯科医院が多くあるということです。また、全顎的治療な治療を行うための検査や診査は長時間かかり、その為の器具や機材、専門的な知識なども必要となるため自費診療で行っている医院が多いというのも特徴と言えるでしょう。しかしこの検査や診査を行わないまま治療を行うことは治療の精度の問題から難しいため当院では全顎的治療を行うためには検査を必須とさせていただいています。