歯のコラム
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審美治療~きれいな歯にするためには~
2023.12.22
機能を満たした治療
虫歯の治療を行うことと臓器の手術を行うことで患者様の心理的に違う点があるとすれば、歯の治療は見た目の印象が非常に強いということです。例えば前歯の治療を行う際にピカピカの銀歯で歯を作りたいという方はいません。(祖母の年代で前歯に金歯を入れることがステータスだったことはありますが・・・)
歯の色やどんな素材で歯を作るのかということを気にする方は多いです。一方で胃や、大腸、肝臓に疾患があって手術をする場合、患部は目に見えないのでどんな切り方をするか、どんな縫合をするかを気にする方はいません。手術が成功するのか、予後はどうなのかといった命にかかわる点が気になる点でしょう。歯科治療は機能面の回復が必須なうえに審美面も気にすることが必要な場合があるというところが治療の難しい点といえるのではないでしょうか?
芸能人の歯が白いこと
テレビやネットで見る芸能人の歯、特に前歯が真っ白なことに気付いている方は多いと思います。実際に会って見てみたら普通ではない白さに見えるかもしれませんが、映像で見る場合に白いと見栄えが良いという理由なのか、それとも真っ白い歯にすることがステータスなのか色々な理由はあると思いますが、一般人よりもとても白い歯にしている方が多いです。この時少し注意してもらいたいのですが、歯肉の色はどうなっているでしょうか?ご自身の歯肉の色と比べてどう違うでしょうか?
健康的なピンク色ではなかったり、腫れていたりと少し違和感を感じるかもしれません。歯周病になってしまっている芸能人の方は多い様に思います。実際には日本人全体の歯周病の割合とあまり変わらないのかもしれませんが、人前に出て目立つ仕事の方なので記憶に残りやすいです。私も職業病なのか人の顔を見る時に歯と歯肉や咬み合わせを見てしまいます。
無理な審美治療
前歯についてのお悩みというと「歯の色」「歯ならび」「歯の形」などが挙げられます。これを簡単に治すにはセラミック矯正と呼ばれる治療があります。実はこれは矯正でもありませんし、治療と言えないところもあります。元々の歯の生え方に乱れがある場合、ワイヤーやマウスピースを使って力をかけて時間をかけて歯を動かすことできれいな歯並びにしていきます。
ところが時間をかけたくないという理由で歯の根元はそのままに歯の見た目の並び方を変える治療をすることがあります。歯を削ってセラミックのかぶせものを作り装着するため見た目はとてもきれいです。しかし歯にかかる力は正しくありません。想像してみてください。家の柱が傾いているのに屋根だけそのままに乗せたらどうなるでしょうか?
異常な力がかかった歯は歯の根から揺れてしまったり、清掃がしづらいかぶせものは歯肉の炎症を引き起こしたりと、長期的に使うことができません。実はそういった方が来院されることはあります。ですが、今までに治療費をかけて作った歯を壊して治療をやり直したり、抜いてインプラントやブリッジにするということは非常に治療費も時間もかかります。最初から長期的に使える治療をされることをおすすめいたします。
長期間使える歯の治療とは
保険診療の治療については様々な調査データがあります。現在の75歳の方の残存歯数は15本です。長い期間をかけて歯を失いながら歳をとっているということになります。保険診療は短期的には治療費も安く良い治療なのですが、長期的にみると再治療が多いということになります。では抜歯の理由はなんでしょうか?
1位は歯周病です。歯周病は歯科医院での定期的な原因細菌の除去が必要ですが、日々のご自身でのケアも必須です。
虫歯の治療という面で見ると、健康な歯がいきなり抜歯になるということはないのでやはり治療済みの歯が徐々に悪くなり抜歯になります。
神経を抜いた歯の治療で気を付けること
神経を抜いた歯の治療=根管治療といいます。根管治療をした歯で抜歯になる原因の1位は破折です。割れたり折れたりしてしまうということです。歯の根の治療は神経を抜く際に歯の根の細い管の中を小さなやすりで形を整えながら行います。治療を繰り返せば歯の根の壁は薄くなり強度が落ちてしまいます。できるだけ治療回数を少なくすることが必要です。
できれば最初に神経を抜く時にしっかりと精密な治療をすることが大切です。神経の治療=根管治療=歯内療法というのですが、歯内療法の専門医の歯科医師やマイクロスコープ根管治療を行っている歯科医師は自費診療で治療を行っている人が多いです。これは治療に使う器具や機材が高価であるということが理由です。
また状態によって治療の回数が変わるという点も自費診療を行う理由といえます。神経を抜いた歯の治療は何度もくりかえすことができず、抜歯になってしまうため治療費についてどう考えるかという問題があります。セラミックのようにわかりやすい治療ではないため認知されておらず、治療費がかかるということについて理解を得られにくいことが悩みの種です。
神経を抜かなくても良い虫歯の治療で気を付けること
神経のある歯の治療は基本的に痛みの無い歯の治療です。範囲が狭い虫歯からやや広めの虫歯までとなり、その治療法は基本的には2つです。
レジンによる修復とつめものです。審美を目的とした場合レジンでの治療は短期的なものとなってしまいます。レジン治療は簡単に言うと虫歯を削った穴にレジンという素材を流し込み、光を当てて固めるという手順になります。これは光によって硬化するレジンの特徴による治療なので1回で治療が終わるという点や白い素材という点が非常に人気のある治療法です。
しかし、このレジンは強度があまり高くないという特徴もあるため、歯の切端や力の多くかかるところに使った場合、欠けたり取れたりすることがあります。また、時間が経つと着色して茶色くなってしまうため修復箇所と自分の歯の継ぎ目が目立つようになります。これはホワイトニングやクリーニングでは元の色に戻らないので機能は問題無くても審美的に気になってくる方も多いです。そして保険診療ではやり直すことができません。(虫歯に対する治療のため、色が良くないという理由では保険診療の対象外となります)もし前歯等目立つ場所の治療を考える場合、虫歯の箇所にレジン治療を行ったうえでラミネートベニアという薄いセラミックを歯の表面に張り付ける治療があります。セラミックは着色しないためきれいな白い前歯を保つことができます。
もう一つの治療法としてつめものの治療があります。虫歯を削って型を取り、型に合わせたつめものを作成して入れるという治療です。素材は保険診療では銀歯やレジン、自費診療ではゴールド、セラミック、ジルコニアなどがあります。セラミックやジルコニアは非常に審美性も高いため自分の歯と同様の自然な白さを再現することができます。性能は自費診療のものが高いことはいうまでもありません。保険診療におけるつめものの治療もデータがあり、初めの治療から5年程度で再治療になり、神経を抜く治療になっています。
そのため、保険診療の素材を選んだ場合は症状が出る前に計画的にセラミックに変えることをおすすめしています。
全体的な咬合診査の必要性
審美的な治療を行う場合、費用がかかるため慎重に治療を行う必要があります。例えば歯が欠けたのでセラミックのつめものを入れたいと思ったとします。なぜ歯が欠けたのかということが非常に重要です。虫歯でもろくなっていただけでしたら特に問題は無いのですが、強く力がかかっていたために欠けたという場合、どうして強く力がかかってしまったのかという原因について考える必要があります。これは咬合診査という検査が必要となりますが、咬合については保険診療で行うことができません。非常に大切な検査なのですが矯正と同じように保険診療の対象外のため、行える歯科医院は多くありません。
しかし、「セラミック治療をしたのにすぐに欠けてしまった」という周囲の方のお話をきいたことがあるかもしれませんが咬合に問題がある場合は診査を行わなければ長期的に使えるセラミックの治療を行うことができないため結果的に満足できる治療をうけられないのでは考えています。
全体的な歯の審美治療、白くきれいな歯にしたいと考えている方がいらっしゃいましたら一度ご相談ください。