歯のコラム
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前歯を綺麗に!ラミネートべニア
2023.05.12
保険診療と自由診療の違い
歯科は機能の回復を主に行う保険診療と、長期間保たれる機能の回復+審美的な目的を満たすために行う自由診療があります。
例えば事故により歯を折ってしまった場合、保険診療では入れ歯の治療があります。ただ、入れ歯は取り外しをする前提ですので使用中に外れてしまったり、うまく噛めないということが起こることもあります。
一方自由診療ではインプラント手術があり、インプラントは歯を支えている骨の部分に人工の歯の根を埋め込むため見た目は自然ですし、噛む力も元々の歯の様にあります。
- ・保険診療 機能の回復(入れ歯)
- ・自由診療 長期間保たれる機能の回復(インプラント)+審美的(ジルコニアのインプラント上部構造)
といった違いがあります。
ラミネートべニアとは
ラミネートべニアとは薄く制作した板状のセラミックを前歯の表面に張り付ける治療です。
色や形を自由に作ることができるため、見た目の印象が非常に変わります。またセラミック自体には汚れが付きにくいので長期的に効果が続く治療ともいえるでしょう。
審美治療で気を付けること
先ほど審美治療は見た目が良いだけでなく長期間保たれる機能の回復を行う治療だとご説明しました。
これは患者様も歯科医師も忘れがちな点だと個人的には思います。
例えば、テレビやネットの画像で芸能人の前歯が真っ白で綺麗に感じることがあるかもしれません。元々歯並びが悪い場合は矯正が必要なのですが短時間で見た目を良くするために前歯を削ってジルコニアのかぶせものを綺麗に並べる方法があります。いわゆる補綴矯正、セラミック矯正と言われるものです。実は全ての方に治療を行えるわけではありません。適応の方と適応ではない方がいます。適応でない方は結果的に長期間の使用ができず治療のやり直しが必要になってしまいます。白い歯と対照的に歯茎の色が悪い芸能人の方を見る度に、「見た目を綺麗にしなくてはならない大変なお仕事だな。いつ治療をやりなおすのかな」と思うことがあります。
ラミネートべニアの良い点
虫歯になって歯を治療する場合、虫歯を削ってそこに銀歯のつめものを入れたり、歯科用の樹脂を入れたりして元のような形に修復します。気を付けて頂きたいのは元の様な形であって全く元の形では無いという事です。複数の歯を治療していくにつれて元々の咬み合わせと変わってきてしまうことがあります。咬み合わせに異常が出ると色々な症状が出ます。歯の痛み、力が掛かることにより歯茎が下がってしまう、力が掛かることにより歯が割れてしまう、歯茎が下がったことにより冷たいものや熱いものがしみる、などや精神的に不安定になるといった症状もあります。
ですので咬み合わせに異常が出るということはできるだけ避けなくてはいけません。
ラミネートべニアの治療は歯の表面に薄いセラミックを張り付ける治療です。全く歯を削らずに張り付けるケースもありますし、少し歯の表面を削ることもあります。どちらにしてもかみ合わせには影響が出ないことが多いです。
綺麗なセラミックの表面が前面に出るので口を開けた時に印象が違います。また、色も好きな色を選んで制作することができます。そしてセラミックは着色しにくい素材ですので綺麗な状態が長い期間続きます。
もし何らかの理由でラミネートべニアを外したくなっても元の歯に戻るだけですので歯を削るというリスクもありません。
ホワイトニングも同様の効果が得られるのですが、着色は避けられないのでホワイトニングを繰り返す必要はあります。
気を付けなくてはいけないこと
先ほどホワイトニングでも歯を白くきれいにすることが出来ると書かせていただきました。
ではラミネートべニアとホワイトニングではどのような点が違うでしょうか?
健康な歯が小さな虫歯になった場合、最近はレジンという歯科用の白いプラスチックで修復する治療が主流です。前歯の隙間が虫歯になった場合にも良く使われます。虫歯は削って取り除かなくてはいけませんが、あまり大きく削る必要がないため歯にとっても良い治療です。ただ、レジン自体やレジンと歯の境目には着色するため、長い間使っていると見た目が気になることも多い治療ではあります。保険診療でも自由診療でも行うことができますが、保険診療で行うケースが多いと思います。この着色をどうにかしたいという主訴で歯科医院にお越しになる患者さんも多いのですが、虫歯ではないので保険診療では治すことができません。仮に削ってやり直したとしてもまた数年で色が変わってきます。やり直しの際に多少は歯も削りますからどんどんとレジンの部分が大きくなっていくので何回も行うことができません。まだら模様の前歯になってしまうわけです。
ではホワイトニングを行った場合はどうかというとレジン部分には効果がありませんので全体的に歯は白くなるのですがレジン部分が目立つことになります。
これらの問題を解決する方法として、セラミッククラウン、ジルコニアクラウン、ラミネートべニアという方法があります。
クラウンというのはかぶせもののことですので、歯の中心を残し周囲を削り、覆うように装着します。神経を残したままセラミックのクラウンを装着できることもありますが、歯の状態によっては痛みがでてしまうこともあるので神経を抜いてクラウンを装着することもあります。見た目を綺麗にしようという目的で神経を抜くというのは少しリスクがあるように個人的には思います。ネットでのお悩み相談でもたまに寄せられるケースです。
この場合、更に1点気を付けなくてはならないことがあります。神経を抜く治療はマイクロスコープを使ったり、ニッケルチタンファイルのような高性能の器具を使ったり、高い技術がなければいずれ歯の根に炎症が起きてしまいます。見た目が良い歯のなのに歯の根の炎症の為にセラミックのクラウンを壊し、歯の根の治療をやり直さなくては治らないのですが、高い費用を払って治療したセラミックを壊すことが出来ないという心境からそのままにしている患者様もいますし、材料費の高いという理由から治療のやり直しをせずに痛み止めや抗生剤を処方して先延ばしにする歯科医院もあります。治療をしないと結果的には抜歯になってしまうため治療は避けられません。これが冒頭にお伝えした「長期間保たれる機能の回復+審美的」ということのわかりやすい例だと思います。学術的に機能が回復していない審美治療は極めて短期的な治療になってしまうため、患者様の満足を得られないということです。
ラミネートべニアは歯を削らない治療(ごくわずか削ることもあります)
ラミネートべニアは歯の表面にセラミックを貼る治療ということはお伝えしたのですが、私も若い時は行った経験がないため治療に少し不安がありました。外れてしまうのではないかという懸念があったためです。しかし接着技術が進歩した結果、外れるようなことがあまりなくなりました。
単純に見た目を良くするということにおいてラミネートべニアがとても相性の良い治療だと思います。前述の通り、歯並び、かみ合わせに問題が無いということが必要なのですが、今まで問題の無い状態ですから薄いセラミックを表面に張ったとしても問題がおきることがありません。歯の隙間が少し開いている、歯の形や大きさが少し気になる、といったことがあった場合、程度はありますが理想的な見た目にすることができます。
当院でラミネートべニアの治療を行う方で多いのは上の前歯の前から1番目と2番目の歯の左右の計4本同時の治療です。左右のバランスも取りやすいですし色も合わせやすいため治療後の印象がとても変わります。
この治療は即日治療が終わるという性質ではないため、事前のご相談、場合によっては周辺の歯のホワイトニングを行った上で型取りと装着の治療が必要です。
ご相談はお電話でも承っておりますのでお気軽にご連絡ください。