歯のコラム
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銀歯が取れてしまったらどうする?
2022.10.27
こんにちは。銀歯が取れてしまったという経験がある方や、身近な方から同様の話を聞いたことがある方も多いのではないかと思います。
結論からお伝えすると、銀歯は取れやすい素材と言えますが、なぜ銀歯が取れてしまうのでしょうか。また、銀歯が取れてしまったらその後の治療はどのようにすればよいのでしょうか。
今回は、銀歯が取れてしまう理由や取れた後の治療方法について、銀歯の特徴やメリットと合わせてに解説していきます。
銀歯の種類と特徴について
まず、銀歯の種類と特徴について解説していきます。
保険診療で使われる銀歯は、金銀パラジウム合金と銀合金の2種類があります。
金銀パラジウム合金は、金属アレルギーの原因の一つであるパラジウムが入っていて、費用が高く、強度はやや高い素材です。
銀合金はパラジウムが入っておらず、費用が安く、やや柔らかい素材です。
銀歯には、つめもの・かぶせもの・ブリッジがあります。
2.銀歯が取れてしまう理由
次に、銀歯のつめものやかぶせものが取れてしまう経緯を見ていきましょう。
銀歯が取れてしまう経緯は以下のとおりです。
1.毎日、歯は自然に削れていきます。銀歯のつめものは歯と比べると、硬さが違うので、歯と銀歯はそれぞれ削れる度合いが違うため、隙間ができます。
2.また、熱いものや冷たいものを食べているうちに銀歯の金属がゆがみます。食べ物を噛む力はとても強いため、物理的な力が掛かり続けることにより変形してしまうこともあります。
3.隙間から唾液等の水分が入ることで、銀歯の接着材を溶かしていきます。
4.隙間に食べかすが入ることで虫歯になり、歯の表面を溶かしていきます。
5.最終的に銀歯のつめものが取れてしまいます。
銀歯のつめものが取れてしまったら
銀歯のつめものが取れてしまったときに気を付けなければいけないことは、内部が虫歯になってしまっているかどうかの確認です。
「銀歯が取れても、取れた銀歯を再度接着すればよい」と考えている方がたまにいらっしゃいます。銀歯を持参して再接着を依頼されるのですが、基本的には再接着はおすすめしていません。銀歯がとれるのは理由があり、内部が虫歯かどうか確認しないまま再度接着しても、すぐに外れてしまったり、虫歯が進行して痛みが出たり、しみてしまうからです。
銀歯のかぶせものが取れてしまったら
神経を抜いた歯は、基本的に歯の周り全体を覆うようにかぶせもの(冠、クラウン)を装着します。神経を抜いた歯は、神経が残っている歯と違い、もろいためです。
大きい金属のかぶせものは目立ってしまうことが多いです。前歯に金属のかぶせものをせず白いプラスチックのかぶせものをするのは、このためです。
銀歯のかぶせものも、銀歯のつめものと同様に外れてしまうことがあります。銀歯のかぶせものの内部は歯の上に金属かレジンの土台を作っていますが、土台を残して、かぶせものだけ外れてしまうこともありますし、土台ごと歯から外れてしまうこともあります。
このような場合、基本的には治療のやり直しを提案しています。神経を抜いた歯の治療は、繰り返すたびに抜歯のリスクが高まってしまうためです。
患者さんの中には治療が面倒という理由で「かぶせものの再接着」を希望される方もいますが、再接着の場合は将来的に抜歯になるとお伝えしたうえで治療をしています。
銀歯のブリッジが取れてしまったら
銀歯のブリッジは、文字通り歯に橋をかけるように治療をするので、ブリッジを行う場合は土台の歯を削り、型を取る必要があります。
土台の歯については、神経を残したまま橋をかけられるように削る「インレーブリッジ(つめもののブリッジ)」と、土台の歯の神経を抜いて周りを全て覆うような「クラウンブリッジ(かぶせもののブリッジ)」があります。
どちらも、つめものの銀歯やかぶせものの銀歯と同様の理由で外れてしまうことがありますが、それ以外に外れる理由として、ブリッジの清掃性の悪さが挙げられます。
ブリッジは、ダミーの歯を中心に周辺の歯に土台を作ります。ダミーの歯の下には歯茎があり、歯茎周辺の清掃にフロスや歯間ブラシ等を使うのですが、うまく清掃できなかったり、清掃を怠ってしまう方がいます。
そもそも、抜歯になる前の段階で何回か治療があったと思います。歯みがきの癖や歯並びなど色々な理由から虫歯を繰り返しているため、抜歯をしてブリッジ治療を行っても根本的な原因は改善されていません。結果的に歯周病になり、土台の歯の周辺の骨が溶けて減ってしまい、力を支えられなくなって抜歯することも少なくありません。
歯医者の立場からすると、抜歯自体は日常的に行っていますが、決して軽度の治療ではありません。抜歯とは「もう治療できない状態=かなり末期的な治療」を行っていることになり、どこか場当たり的な治療をしているように思います。
「痛くなったら削る、検診はあまりしない」という状態が長く続くと、抜歯のリスクは高まってしまいます。
銀歯のブリッジで気を付けなくてはいけないことは、連鎖的に抜歯することになる可能性が高いことです。
土台の歯がダメになってしまった場合、さらに隣の歯を土台にした2本連続欠損のブリッジを製作することがあります。もともと4本分の歯にかかる力を2本で支えるとため、歯にかかる負担がとても大きい治療です。また、一番奥の歯を土台にしていた場合、その歯を抜歯することになるとブリッジ治療はできません。高飛び込みの飛び込み板のような状態のブリッジは力に耐えられないからです。ここまで進んでしまうと、ブリッジ治療以外の入れ歯やインプラントを検討する必要があります。
保険診療による銀歯のメリット
保険治療による銀歯のメリットは、費用が安いということに尽きます。国民皆保険制度の良さを感じられる治療法です。日本で働いている海外の方が治療にいらっしゃることがありますが、費用を安く抑えられる銀歯の治療を選ばれることは多いです。
まとめ
保険治療の銀歯の特徴は、以下のとおりです。
1.長期的な使用が難しい素材である
2.取れた場合は、原因を探し根本的な治療が必要である
3.ブリッジ治療は土台の歯を大切にしないと抜歯する危険性がある
4.費用が安い
5.異常が起きてから治療終了までの期間が短い
自由診療は費用が高くなります。
費用的に難しい場合は、一時的に保険診療の銀歯を装着し、時間や費用に余裕がある時にセラミックやゴールド、ジルコニアに交換することをおすすめしています。
気になることがあればスタッフまでお気軽にお問い合わせください。
お電話でのご相談もお待ちしています。