歯のコラム
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質問コーナー2024年秋版 その4
2024.11.29
歯医者に寄せられる質問にお答えします
私は色々な歯科のサイトで質問コーナーに登録しています。たくさんの質問が寄せられるのですが、非常に大量の質問なため応えられるのはほんの一部です。一般的な質問から専門的な質問までありますが、その中からよるある質問の一部についてお答えしたいと思います。
虫歯についてのご質問
Q13 歯医者で「いんでい」とは何ですか?
A13 「インレー」のことだと思います。歯科用語は一般の方には聞きなれない言葉も多いので治療中に歯科医師と歯科衛生士が会話している内容がわからないことも多いかもしれません。「C」であればカリウスのCで虫歯ですし、「P」なら歯周病、歯を抜くのは「抜歯(ばっし)」ですが、縫った傷口の糸を外すのは「抜糸(ばついと)」です。患者さんにわかりやすいように話さなければと思いながらもついつい専門用語が出てしまうのは気を付けなけなければいけません。自戒をこめて。さてインレーの治療ですがつめものの治療のことですのでイメージしやすいのは銀歯の小さめのつめものや、奥歯に噛みこむように入れられている噛み合う面をカバーするような銀歯のつめものではないでしょうか。これは保険診療ですと「銀歯のインレー」「CADCAMインレー」が最近では多いかもしれません。自費治療であれば「セラミックインレー」「ゴールドインレー」が主流でしょう。どちらも神経の生きている歯に入れる治療法です。銀歯のインレーの場合は材料費が高騰していることもあり若手の自分は院長から「必要な部分以外はできるだけ薄く歯を削って」と指導されたことを思い出します。それが原因かはわかりませんが、患者さんの中には「銀歯=歯を削らない」「セラミック=歯を多く削る」と考えている方がいるようです。前述の「奥歯に噛みこむように入れられている」銀歯のつめもので考えますと、実は逆です。銀歯と歯を接着する方法ですが材料の性質上接着力が弱いため銀歯のインレーを鉤のようにつくり歯も合わせて削り、パズルのように組み込むようになっています。これは必要な事ではあるのですが虫歯の部分以外も削る必要があります。一方セラミックインレーは歯とセラミックの接着力が強いため虫歯の部分だけ削ります。セラミックは陶器ですので薄い部分は欠けやすいので薄い部分が出来ないように一定の厚みで製作できるように歯も削ります。この過程を「セラミックは歯を大きく削る」と誤解されているのかもしれません。またこの特性を知らない歯科医師がセラミックの治療を行った場合は治療後短期間でセラミックが欠けてしまい再治療になったりトラブルになったりすることがあります。それぞれの素材によって特徴がありますが、自費治療に使うゴールドやセラミックは長期的に使える素材ですので治療の際には主治医とよくご相談されることをおすすめします。
Q14 虫歯の治療のため歯医者にいくら持って行けばいいですか?
A14 虫歯の治療と言っても症状によっては治療内容が変わるため金額は一定ではありません。治療方針も歯科医院ごとに違います。目安としては2500~5000円程度あれば良いかと思います。表面にとどまる削る必要のない虫歯なのか、一部穴が開いてしまっているのか、ズキズキと痛むのかによって治療が違います。初回は問診や検査、治療方針の説明など色々と時間がかかるかもしれませんので60分程度はお時間の余裕があった方が良いかもしれません。
Q15 歯医者の予約を取る時なんて言えばいいですか?
A15 症状をそのまま伝えればOK。「軽い痛みがある」「ズキズキと歯が痛んで眠れない」「歯が欠けてしまった」「歯茎から血が出る」などある程度伝えていただくと歯科医師も歯科衛生士も準備をしてお待ちできます。個人的にお願いしたいこととしては「歯が痛いのにクリーニングで予約を取る」といらっしゃった時に担当も準備も変更が必要なので実際の症状に合わせたご予約をお願いいたします。
Q16 歯医者にかかる費用はいくらですか?
A16 治療内容によってかわるのですが、保険診療の場合は初回ですと2500円~5000円程度、つめものの治療は数千円、かぶせものの作り直しも数千円、歯周病治療は初回3000円程度といったところでしょうか。一度に複数の治療をすることもあるので費用は変わりますが、保険診療の良い点として全国一律で同じ治療は同じ治療費です。一方自費診療の場合はその医院ごとに設定されている治療費になるためホームページを確認するかお電話での確認をされることをおすすめいたします。
Q17 歯医者でCと言われたのですが、どういう意味ですか?
A17 治療中や検査中に「右上7番がCです」といった感じで歯科医師や歯科衛生士が話しているのを耳にすることがあるかもしれません。カリエスCariesのCということですね。ちなみに一番前の歯が1番、奥に行くにしたがって2番3番となりおやしらずが8番です。たまに乳歯生え変わらずに残っているかたは一番前の歯がAで奥に行くにしたがってBCDEとなっていきます。
Q18 歯医者でCRと言われたのですが、どういう意味ですか?
A18 CR=コンポジットレジン 保険診療で使う白いつめもののことです。強度がとても強いわけではありませんがやや硬い液状の性質を持つため、歯を削って歯面処理をした後に流込み、光を当てることで固めることができるという非常に便利な特徴を持っています。虫歯の治療で使いますが、強度の問題で全ての虫歯に使えるわけではないという点には注意が必要です。初期の虫歯をCRで治療したが数年後また同じ個所のCRの周辺を虫歯にしてしまった場合、範囲が広すぎてCRでは強度が足りないとなると銀歯のつめものにしなければならず、今まで白かったのに金属の色が見えるのは嫌だということをおっしゃる方も多いです。しかし症例に適応ではない治療を行っても短期間で欠けてしまったりと結果的に再治療が必要になることもあるためCRで治療したあとは再治療にならないように日々のセルフケアや歯科医院での定期的な検診が大切だといえるでしょう。
Q19 40代で歯がボロボロになるのはなぜですか?
A19 相談者さんは40代なのでしょうか。仮に40代だとすると歯のトラブルが起きて来てもおかしくはありません。というのも歯周病は免疫が関係する病気ですので免疫力が低下する40代からリスクが高くなります。また、虫歯に関して言えば歯科補綴物の使用年数に関する疫学的調査 口腔衛生学会雑誌46 によれば最初の治療から平均18年で抜歯になっています。20歳前後で治療した歯が抜歯になってくるのが38歳前後になりますので40代で抜歯する歯が増えてもデータ上では不思議ではありません。そして抜歯は虫歯や歯周病といった細菌でのみ起こることではありません。必要以上に力がかかっている歯は割れたり欠けたり折れたりするため、歯を抜歯したことにより歯に掛かる力のバランスが崩れれば他の歯へ悪影響がでます。結果的に抜歯の本数が増えていくことがあるわけですね。歯の治療は早期発見早期治療が良いのですが、都度都度おかしくなった歯を治療するよりも全体を総合的に治療するという方法もあります。総合診療、包括診療というのですが基本的には自費治療です。歯のことを考えてしっかり治していこうと思っている方にはとても良い治療だと思います。行っている歯科医院の数はあまり多くないのでよくお調べになって一度ご相談されてはいかがでしょうか?
その5に続きます。