歯のコラム
- トップページ
- 虫歯になったら歯医者にいつ行くべき?
虫歯になったら歯医者にいつ行くべき?
2023.10.27
虫歯はどうやって発生する?
虫歯は食事などから取り入れた糖分が口内の細菌によって酸として分解される過程で、この酸が歯のエナメル質を溶解することで始まります。この反応が続くと、歯のエナメル質は次第に弱くなり、穴が開くことで虫歯が形成されるのです。
この過程は様々な要因によって加速されることがあります。例えば、口内の細菌の量や種類、摂取する食品や飲料や回数、飲食の間隔、口内清掃の頻度や方法などが影響します。
虫歯の進行とそのリスクについて
虫歯が初期段階であれば、痛みや不快感はほとんど感じられませんが、放置することで穴は深くなり、歯の表面の堅い層-エナメル質から歯の内部のやや柔らかい層-象牙質さらに歯髄という神経が通っている組織に到達するリスクが高まります。歯髄に達した場合、痛みは激しくなり、さらには歯根やその周辺組織への感染の恐れも出てきます。このような状態になると、単なる虫歯の治療以上の対応が必要になることも多く、根管治療や抜歯といった大掛かりな治療が必要になる場合もあります。
虫歯の治療ではつめものやかぶせものといった補綴物(銀歯やゴールド、セラミック、ジルコニアなど)を装着しますがその過程の中でかみ合わせに異常が出ることがあり、結果として他の歯へ悪影響が出たり全身の不調につながることもあります。
早期発見の重要性
虫歯の初期症状
虫歯の初期症状は、多くの場合、非常に微妙であり、すぐには気づきにくいものです。以下は初期の虫歯の兆候です。
白斑
歯のエナメル質が徐々に溶解し始めると、歯に白い斑点が現れることがあります。これは、ミネラルが失われている部分を指し、これが最初の虫歯のサインとなることが多いです。
微細な感受性
甘いものや冷たいものを摂取したときに短時間の微細な痛みや鈍い感受性を感じることがあります。
変色
初期の虫歯は、歯の表面に黄色や茶色の小さな斑点として見えることがあります。
早期発見のメリット
虫歯を早期に発見することは、多くの利点があります。
簡単な治療
虫歯が初期段階(エナメル質内)であれば、削らない場合も多くフッ素処置とブラッシングの指導、セルフケアグッズの処方などで済み経過を見ていくことになります。
エナメル質内に留まらない初期の虫歯は小さな詰め物だけで治療が完了することが多いです。詰め物もレジンという光を当てて硬化する性質を持つ素材を使い即日終了することもあります。
コストの節約
初期の段階での治療は、進行した虫歯の治療に比べてコストも低くなります。また治療の回数や時間も少ないため時間という大切なものについてもコストが少なくなります。
痛みの軽減
虫歯が進行すると、痛みが強くなることが多いです。早期に治療を行うことで、強い痛みを避けることができます。
健康な歯の保持
歯の大部分を失わずに治療を完了することができ、健康な口腔を維持するための基盤となります。
虫歯の初期段階での発見と治療は、長期的な口腔の健康と快適さを確保するために非常に重要です。定期的な歯科検診と適切な口腔ケアにより、虫歯のリスクを最小限に抑えることができます。
歯医者に行くべきタイミング
歯の健康を保つためには、虫歯や歯周病、かみ合わせ、その他の口腔内の問題を早期に発見し、適切に対応することが非常に重要です。以下の症状や変化を感じた場合、歯科医院でご相談することをおすすめします。
甘いものや冷たいものを食べたときの痛み
甘いものや冷たいものを摂取したときに歯が痛む場合、これは虫歯の初期段階や歯の露出した根の部分が敏感になっているサインである可能性があります。これらの感受性は、初期の虫歯や歯周病、さらには歯ぎしりによる歯の摩耗の兆候として出現することがあります。
噛むときの痛みや不快感
食事をする際や噛むときに痛みや不快感を感じる場合、それは虫歯や歯の根の炎症やヒビ、歯周病の進行などの可能性が考えられます。早急に治療を受けることが重要です。
見た目の変化(変色、黒ずみなど)
歯の色が変わってきたり、黒ずんできたりする場合、これは食物や飲み物による変色の場合もありますが、虫歯の進行や歯石の蓄積を示す可能性もあります。特に、黒ずみや茶色の斑点が長期間変わらない場合は、虫歯の進行を疑い、歯医者の診察を受けるべきです。
持続的な不快感や異常を感じる場合
口の中で持続的な違和感、腫れ、出血、痛みなどの症状が続く場合、これは虫歯や歯周病、その他の口腔内の問題のサインである可能性が高いです。症状が数日以上続く場合、早めに歯医者に相談し、診断を受けることがおすすめです。
いずれの症状も、放置することで問題が悪化し、より大きな治療が必要になる可能性があります。定期的な検診や症状が出た際の早めの相談が、健康な口腔環境を維持するための鍵となります。
定期検診の意義
定期的な歯科検診は、虫歯や歯周病などの口腔の問題を予防・早期発見するために非常に重要です。以下は、定期検診を受けることの主な利点と意義になります。
虫歯の初期段階での発見可能性
虫歯の初期段階は、症状が出にくいため、自分自身で気づきにくいものです。しかし、歯医者は専門的な診察や器具を使用して、微細な虫歯の兆候を早期に発見することができます。初期段階での発見は、治療が簡単かつ迅速に行えるため、治療の負担やコストを大幅に削減することができます。
予防の重要性とそのメリット
歯石の除去
定期検診では、歯石の除去が行われることが一般的です。歯石は、歯周病の原因となることがあり、その除去は歯周病の予防に非常に効果的です。
フッ素塗布
虫歯の予防のために、フッ素を歯に塗布することが行われることがあります。これにより、歯のエナメル質を強化し、酸による溶解を防ぐことができます。
生活習慣のアドバイス
歯医者からは、口腔ケアの方法や食生活などの生活習慣に関するアドバイスを受けることができます。これにより、日常生活の中での虫歯や歯周病の予防がさらに向上します。
定期的な歯科検診は、口腔の健康を維持するための基盤となるものです。一見、健康に問題がないと感じても、未発見の初期段階の問題が潜んでいることがあります。そのため、予防と早期発見の観点から、定期的な歯科検診を受けることを強くおすすめします。
虫歯予防のための日常ケア
日常の口腔ケアは、虫歯や歯周病などの口腔トラブルの予防において非常に重要な役割を果たします。以下は、効果的な虫歯予防のための日常ケアのポイントになります。
正しいブラッシングの方法
歯ブラシの選び方
歯ブラシの種類は非常にたくさんあります。ヘッドの幅や長さ、毛の堅さなど多種多様にわたります。自分で使いやすいものを使っても良いですが、歯科医師や歯科衛生士からご案内することもできますのでお気軽にお声掛けください。
時間を確保
1回のブラッシングに3分以上の時間を確保し、歯の各部分を均等に磨くことが重要です。
歯間ブラシやフロスの使用
歯間はブラッシングだけでは十分に汚れを取り除くことができません。以下の方法で歯間のケアを行いましょう。
歯間ブラシ
歯と歯の間の大きな隙間や歯茎が下がっている部分には歯間ブラシが適しています。
デンタルフロス
狭い隙間や歯の接触部にはデンタルフロスを使用して、汚れや食べ物の残りをしっかりと取り除きます。
うがい薬の使用
うがい薬にも多くの種類があります。フッ素配合のもの、殺菌剤が含まれているもの、爽快感があるものなどです。これも歯ブラシと同様に自分でわからない場合は歯科医師や歯科衛生士にお尋ねください。
正しい食生活や口内ケアの習慣
砂糖の摂取を控える
虫歯の主な原因は、砂糖から生じる酸です。甘い飲み物やお菓子の摂取を控えることで、虫歯のリスクを低減することができます。
食後のケア: 食事後は、できるだけ早くブラッシングやうがいをして、口の中の食べ物の残りや酸を取り除きます。
キシリトールの使用
キシリトールガムやキシリトールのタブレットを使用すると歯に良いことはとても多く知られていると思います。
虫歯は日常のケアによって予防することができます。適切なブラッシング方法や食生活を意識し、日常の口腔ケアに努めることで、健康な口腔環境を維持することができますので気になることがあればお気軽にお問い合わせください。
最後に
いつ歯医者に行ったらいいのかというご質問を受けることはたまにあります。
「何もなくても歯科医院で検診をうけることをおすすめいたします」
と答えています。
何もなくても、現在問題がないということがわかるからです。仮に軽い痛みや違和感があれば症状があるわけですから直ちに歯科医院で検査を受けたほうが良いです。
ほかには他の歯科医院で治療済みの歯があるという場合も歯科検診を定期的に受けたほうが良いと思います。特に保険診療で使われる銀歯は長期間の使用に耐えられないこともあり、徐々に状態は悪くなっていきます。歯の健康というのは歯科医院が一方的に提供するものではありません。あくまでご自身のお身体ですから日々のセルフケアが非常に有効です。
いつでもご相談お待ちしております。